曲は進んでいた 私一人だけに
ごく普通の単調な生活を送っていた女性に 突然 愛が訪れる しかし それは 秘められた恋
夜になり 偲ぶように 夢のように(夢の中に)訪れる恋
朝になると 何事も無かったように 単調な生活が繰り返される 私だけの恋 邪魔をしないで
切なくなるくらい女性の心を語った シャンソンの逸品
彼女は 聞いているのだろか うつむいたままで目を閉じて物思いにふけているようにも見える
彼女は 聞いているのだろか うつむいたままで目を閉じて物思いにふけているようにも見える
シェーカーを洗い 水切りに置く
ほんのりと彼女の髪からタバコの香りがした
灰皿を彼女の右側 手前に置いた
瞬間的に彼女が反応した
「タバコは吸いません!」
「タバコは吸いません!」
チョット驚くような強い言い方だった
「スミマセン」
「いえ、ゴメンナサイ」 慌てたように取り繕う彼女
「たった今、タバコの嫌な思い出がひとつ増えてしまったばかりだったので つい」
「そうでしたか。スミマセンでした」
「いえ、本当に私が悪いんです 気にしないで下さい」
「折角の素敵なお店の雰囲気に水を差しちゃいましたね ゴメンナサイ」
「折角の素敵なお店の雰囲気に水を差しちゃいましたね ゴメンナサイ」
「本当は席を立つほうが良いのかもしれないけど 他のお客さんが来るまで もう少し
居させてください」
「今 座ったばかりじゃ無いですか グラスにも口をつけたばかり ゆっくりしてらし
ください それに 多分 今日は他のお客様はいらっしゃらないと思います」
「ありがとうございます」
グラスに口をつける 半分くらいを飲み 再びうつむいた彼女
曲は 進んでいた 刹那的な一曲 祭りが続く
外の祭りの賑わいは最高潮に達しているが 親の居ない子が泣いている 死のうとして
いる男女 自分は安アパートの部屋からその二人を見ながら 祭りの音と子の鳴き声を
聞いている・・・・・・・・・・。