車は山道をひたすら下り
 
次の山へと向かっていく
 
谷間のカーブを曲り突然見えてくるのはピンクの山
 
山一面がピンクに染まっている
 
さすがにピーク時なので駐車場も満杯
 
申し訳ないが山からは大分離れた臨時駐車場に車を止めた
 
車から降りとんまさんはキョロキョロと下を見ながら歩く
 
「何か落としました?」
 
「幸せが落ちてないかなぁ~って」
 
笑顔で答え四葉のクローバーを探していた
 
健太さんは目の前の山に感激
 
写真を撮りに立ち止まったり横道に逸れたり
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「上に神社がありますから登ってみますか」
 
「勿論!!」
 
狭い獣道のような通路を登る
 
降りてくる人とすれ違うにはどちらかが花を踏まないように道を譲らなければならないので
 
自分のペースでは登れず短い距離なのだが相当に疲れる
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それでも登ってしまうと
 
コレだけのピンクに圧倒されてしまう
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神社のお参りを済ませ山を下る
 
「健太さん ラーメン食べますか?」
 
目の前に観光客用食堂は何処も長蛇の列
 
「いや 未だ先にあるでしょう」
 
「この先は小さな町を抜けて峠を通ってさっき見た湖の横を通れば今日の宿です」
 
「それじゃ~ その町で食べましょう」
 
 
 
小さな町の中では割りと有名なお店に入り
 
やっとノルマのラーメンにありつく健太さん
 
「スミマセン 残すと申し訳ないので子供じゃ無いんですがお子様ラーメンって頼んでいいですか?」
 
北海道ではこの注文はタブーとされているが此処では気持ち良く受けてくれた
 
「折角 いろんな所に行ってるのにラーメンは嫌いじゃ無いけど何時でも何処でもはねぇ~」
 
「イヤイヤ 全国各地 味が違うんだよ 此処だって味噌なのに凄くアッサリしてる」
 
「ボクもラーメン好きなので何処の土地に行っても一食はラーメンですね」
 
そう言いながらボクは(普段は大盛りなのだが)普通(サイズの)味噌を食べていた
 
 
車は再び山道に入り 間も無く 峠の頂上に着いた
 
道東観光では必ず訪れる場所 美幌峠
 
別れの時間が迫ってきてしまった悲しみか
 
スッカリの曇り空
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風が強く雨も混じってきてしまった
 
展望台の途中に美空ひばりの「美幌峠」の石碑がありボタンを押すと歌が流れるが
 
強い風に負け其処までは見ているゆとりが無かった
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峠を湖側に下り今日の宿へ向かう
 
途中 湖の畔で休憩
 
此処は砂を掘ると温泉が湧く 砂湯
 
風が強く寒い
 
ボクが寒いんだから健太さん とんまさんには凍える寒さ
 
砂を掘って遊ぶゆとりは無かった
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峠でも砂湯でも休憩時間をあまりとらなかったので
 
時間に余裕が出来た
 
コレも偶然のプロローグ
 
「折角なのでもう一箇所だけ行ってもいいですか?」
 
「どんな所??」
 
「HAWAIIには溶岩が未だに出ている活火山がありますが 北海道にも有るんですよ」
 
「え~本当!! それは是非見てみたい」
 
山へ向かって走り出した途端に厚い雲は掻き消え晴天が戻って来た
 
温泉街を通り過ぎ向かった先にあるのは 黄色い山
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硫黄山
 
此処は残念ながら活火山の硫黄より
 
温泉玉子で有名になった
 
その有名も一般人と距離を隔てた方々の収入源になっているのを
 
道が放置していると・・・・・・・有名になった
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「うわぁ~ すごいね 近くまで行けるのかな~」
 
「進入禁止のギリギリまで行ってみますか 足元が脆いので気を付けてくださ・・・・」
 
健太さんは既に先を歩いている
 
とんまさんとボクは顔を見合わせ笑うしかない
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「火傷しないで下さいね 此処でこの臭いに慣れておけば今日の宿は安心して寝れると思います」
 
「凄い臭いよね」
 
「多分 今の服は一度の洗濯では臭いが落ちないと思いますよ」
 
「そんなに近づくと危ないですよ~」
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「それに 物凄い蒸気ですからピントは合わないと思いますよ」
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そんなこんなと硫黄山を散策し駐車場へ戻る
 
先ほどのラーメンも山の散策で丁度こなれたようだ
 
直ぐに車に乗り込んでも10分と掛からないのだが
 
ボクは別れを惜しむように何かと用事を思い出す
 
「トイレはいいですか? 折角だからお土産屋さんで温泉卵とか食べてみませんか」
 
「あそこの玉子はいいの?」
 
「あそこは町でやってる公益法人ですから」
 
中に入りトイレに寄ったり売店を覗いたり
 
 
 
 
 
子供を連れた観光客を避け道を譲る
 
横目に何かが飛び込んだ
 
後ろ髪を惹かれるように振り向く
 
相手も同じものを感じたのか振り向く
 
「げんちゃん?」
 
「BANIANN(ここでは本名で呼ばれた)」
 
なんと
 
30年振りの親友に会った
 
ボクが始めてHAWAIIへ渡った時の相棒
 
共に同じ部屋で過ごし 同じ鍋でラーメンを啜った
 
「HAWAIIへ来てまで何でオレ達貧乏やってんだ!!」って夜中にビーチで南十字星を見上げた
 
彼は彼の奥さんの実家を訪ねタマタマ子供にせがまれてトイレ休憩に立ち寄ったと
 
天候 時間 思いつき 生理現象 全ての偶然が奇跡を与えてくれた
 
お互いに消息も分からなくなっていた
 
(ボクはHAWAIIに残り彼は日本に戻った その後 帰国後のボクは東京を中心に仕事をして
 
 彼は北海道に戻ってきていた)
 
言葉がみつからない 只 二人は握手した手を離さなかった
 
健太さんと とんまさんには何分待ってもらったのだろうか
 
彼の子供には何分辛抱してもらったのだろうか
 
二人は再会を約束し携帯番号を交換し別れた
 
 
 
「鳥肌がたっちゃた 奇跡ってあるんだね 良かったね」
 
「本当に凄いことだよ HAWAIIの力かな ダイヤモンドヘッド様の力かな」
 
この後の会話はあまり覚えていない
 
ただ
 
ホテルに着き荷物を降ろし
 
健太さんの笑顔を見たときに涙が止まらなかった
 
手を差し出され握手をした
 
嗚咽が出そうなほどに涙が溢れた
 
とんまさんの笑顔は優しさに溢れていた
 
帰り道
 
泪で前が見えず車を停めて深呼吸をした
 
 
 
 
 
 
何の気なしに出会いを求めた2日間
 
偶然と気まぐれ
 
時のイタズラか必然か
 
心の中から欠けてしまっていたパーツが
 
 
見付かった